災害時の食料備蓄は、安心感を左右する重要な要素です。何をどのくらい備えるべきか迷う人も多いです。非常時には保存性の高い食材が必要で、選び方や備蓄方法には正しい知識が欠かせません。
本記事では、日持ちする食材の種類や選び方を詳しく解説します。必要な食料を準備し、災害時にも冷静に対応できる力を身に付けましょう。
★この記事の執筆者★
- ミドリ
- 食品・農業系ライター。元自然食品店勤め10年のオーガニックコンシェルジュです。畑作業が趣味。
- 菜々ちゃん
(野菜の妖精) - ・ミドリの食の師匠(?)
・野菜にまぎれて
やってきた妖精
日持ちする食材を備蓄する重要性
日持ちする食材を備えておくと、下記のメリットがあります。
- 電気やガスが使えない状況でも安心して過ごせる
- 経済的に不安定な時期には、食費の節約につながる
- 災害や非常時に、安全で健康的な生活が続けられる
- 長期保存と栄養バランスに優れた食品選びができる
日常的に賞味期限の古いものから消費していき、消費した分を買い足すことをローリングストック法といいます。いざというときに賞味期限が切れていることを防ぎ食品ロスを減らせます。
災害時には食料不足におちいる可能性があるため、家庭での備蓄が重要です。電力が止まったり、スーパーが閉店したりする状況では、備蓄した食料が生き死にを左右します。
非常時でも必要な栄養を摂り、健康を維持するためには、調理が不要な食材を中心に用意しましょう。レトルト食品や缶詰、乾燥食品は火を使わずに食べられるため便利です。
» 健康維持のために重要な栄養バランスの基本と整え方
日持ちする主食類
日持ちする主食類として、以下の食材を参考にしてください。
- 米類
- パスタや乾麺
- 缶詰のパン
米類
米は優秀な備蓄食材で長期保存が可能です。ただし精米後おいしく食べられるのは1~2か月。災害が長引いたり、買い占めなどて手に入らなくなることも考えて、真空パックのものをストックしておきましょう。1~2年はもちます。
玄米が食べられるという人は玄米も備蓄するとよいです。玄米は酸化が進みにくく1~2年はおいしく食べられます。
適切な保管場所は必要で、涼しく乾燥した場所を選び、防湿・防虫対策が必要です。
災害が多い地域では、一定量の米を常に備蓄しておくことで、緊急時でも安心できます。
パスタや乾麺
パスタや乾麺は長期保存が可能です。沸騰したお湯で数分茹でれば食べられます。種類が豊富で、さまざまな料理に活用できる点が魅力です。以下の栄養をバランスよく摂取できます。
- 炭水化物
- タンパク質
- ビタミンB群
湿気や温度変化を避け、密封容器や乾燥剤を使用した保存で、品質をより長く保てます。
缶詰のパン
保存が難しいパンも缶詰なら3~5年は長期保存が可能です。パンの美味しさと柔らかさはそのままに、チョコレート味やメープル味などさまざまな味が楽しめます。
非常時でも美味しいパンが食べられるよう缶詰パンを常備しましょう。
野菜・果物の日持ちする食材
野菜・果物の日持ちする食材は、以下を参考にしてください。
- 根菜
- 保存性の高い果物
根菜
非常食としても活躍する根菜は、ニンジンやダイコン、ジャガイモやサツマイモ、カブが代表的です
- 根菜のメリット
- ・保存性が高い
・栄養価が高い
・さまざまな料理に使える
通気性の良い涼しい場所で保管すれば、ジャガイモやサツマイモは数か月、ニンジンやダイコンは数週間の保存が可能です。
根菜類は栄養価が高く、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富です。
加熱調理だけでなく、サラダや漬物にも使えるため、料理のバリエーションが広がります。
根菜は保存性や栄養価が高く、幅広い料理にも使えるので重宝される食材です。
保存性の高い果物
保存性の高い果物は、非常時や日常の備蓄に便利です。リンゴや柑橘類は、温度や湿度を適切にたもてば、数週間から数か月保存できます。特にリンゴは冷蔵保存に向いています。
ドライフルーツも長期間保存が可能です。ドライフルーツは栄養価が高く、少量でエネルギー補給ができるため非常時に重宝します。
肉類と加工肉製品の日持ちする食材
肉類、加工肉製品の日持ちする食材は以下のとおりです。
- 冷凍肉
- ジャーキーなどの乾燥肉
冷凍肉
冷凍肉は、数か月から1年以上保存でき、鮮度や栄養も保てます。緊急時の食料としても便利です。冷凍する際は、ラップで包んでフリーザーバッグに入れましょう。冷凍焼けや品質の劣化をおさえられます。
解凍は冷蔵庫で行うと、ゆっくりと解凍され味や食感を損ないません。
ジャーキーなどの乾燥肉
ジャーキーは、牛肉や豚肉、シカ肉を使った保存性の高い乾燥肉です。塩づけや乾燥で水分を抜くと、細菌の増殖がおさえられ、長期保存が可能になります。
高タンパク・低脂肪で携帯性が高いため、非常食としても優秀です。
市販のジャーキーには、添加物を使っていないものも多く、健康志向の方にも向いています。
常温で日持ちする食材
常温で日持ちする食材は、以下のとおりです。
- 乾燥海藻と乾燥野菜
- レトルト製品と缶詰
- 豆乳製品
- ロングライフ牛乳
乾燥海藻と乾燥野菜
乾燥海藻と乾燥野菜は、備蓄用に最適です。
- 乾燥海藻と乾燥野菜のメリット
- ・長期保存できる
・栄養素が凝縮されている
・軽くて持ち運びがカンタン
常温で長期保存できる便利な食材です。栄養素が凝縮されているため、少量で効率よく栄養を摂取できます。
水分が抜かれているため軽く、持ち運びも簡単。乾燥海藻、乾燥野菜はビタミンやミネラルが豊富です。
水やお湯で簡単に戻せるため、普段から炒め物やスープ、サラダなど多様な料理に活用できます。
非常食としても優れ、効率よく栄養を摂取できるため、備蓄食材としてもおすすめです。
レトルト製品と缶詰
レトルト食品と缶詰は、長期間保存が可能です。高温処理と殺菌によって常温保存ができるため、非常時の備蓄にも適しています。
温めるだけで食べられる製品が多く、忙しいときや調理が難しいときでも手軽に栄養を摂ることが可能です。レトルト食品や缶詰は多くの家庭で重宝されています。
豆乳製品
豆乳は、常温で長期保存できる便利な食品です。UHT加工(超高温短時間殺菌法)により、常温で長期間保存できます。(開封後は冷蔵保存が必要)。
防腐剤を使わずに保存性を高めているため、健康志向の方にも適しています。
豆乳のパッケージは光や空気を遮断する構造で、保存性があります。災害時の非常食にもなり、いざという時の栄養補給として備えておくと安心です。
ロングライフ牛乳
ロングライフ牛乳は、高温短時間殺菌技術によって長期保存が可能です。高温で短時間加熱し、細菌を殺菌した後、迅速に冷却するため、通常の牛乳よりも保存期間が長くなっています。
常温保存ができますが、開封後は冷蔵保存が必要です。
非常時にも新鮮な牛乳が飲めるため、ロングライフ牛乳は防災備蓄にも適しています。
万が一の事態に備えてストックしておくと安心ね!
非常時に役立つ日持ちするおやつ
以下で紹介するおやつは、効率よく栄養を摂取でき、保存が効くため非常時に役立ちます。
- ナッツ類
- ドライフルーツ
- ビスケット・クラッカー
- シリアルバー・エナジーバー
ナッツ類
ナッツ類は非常時に便利な食品です。高タンパクでビタミンやミネラルが多く、効率的に栄養素を摂取できます。アーモンドやカシューナッツはそのまま食べられるうえ、料理の材料としても便利です。
長期保存が可能で温度変化にも強く、非常食にも適しています。
ナッツは脂質が豊富でエネルギー源として優れており、少量でも満足感が得られます。ただし、ナッツアレルギーを持つ人がいるため、アレルギーの確認が必要です。
» 1日の脂質はどれくらい摂取したらいい?
ドライフルーツ
ドライフルーツは水分を適度に除去したくだもので、保存性が高く非常時に適しています。砂糖不使用の自然製法のドライフルーツを選ぶと、健康志向の人も安心です。栄養価が高く、少量で効率的にエネルギー補給できます。
ビタミンやミネラルが豊富で、体の機能を支え、健康を保つのに役立ちます。
ドライフルーツはコンパクトで持ち運びやすく、非常時の持ち出し袋にも適しています。
ビスケット・クラッカー
ビスケットやクラッカーは、乾燥しているため長期保存が可能です。手軽にエネルギー補給ができ、防災食にも向いています。湿気を避ければ、開封後も比較的長く保存できます。
塩味や甘味のバリエーションが豊富で、飽きずに楽しめます。
クラッカーはジャムやチーズをトッピングしても美味しいのよね。
シリアルバー・エナジーバー
シリアルバーやエナジーバーは、非常食に適した食品です。密封パッケージで長期間保存でき、災害時や緊急時に便利です。
栄養価が高く、炭水化物やタンパク質、ビタミンがバランスよく含まれており、体力維持に役立ちます。
私は車の助手席にシリアルバーを常備しています。小腹がすいた時や、渋滞で長時間動けなくなったときに便利!
市場には味のバリエーションや特定の栄養成分を強化した商品が多く、さまざまな選択肢がそろっています。
日持ちする食材を選ぶ際のポイント
日持ちする食材を選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。
- 非常時にも食べやすいものを選ぶ
- 栄養バランスを考慮する
- コンパクトで収納しやすいものを選ぶ
- 調理の手間が少ない食材を選ぶ
非常時にも食べやすいものを選ぶ
非常時には、食べやすい食品選びが重要です。噛みやすく柔らかいものを選ぶことで、子どもから高齢者まで幅広い年齢層が食べられます。手を汚さずに食べられるスナックや食品は衛生的で便利です。
個別包装された食品は保存性が高く、必要な分だけを使えるため無駄が少なく、衛生的に保管できます。
栄養バランスを考慮する
非常時でも栄養バランスを考えることは重要です。バランスの取れた食品を選ぶことで、必要なエネルギーや栄養を効率的に摂取できます。炭水化物やタンパク質、脂質が適切に配合されているものが理想です。
ビタミンやミネラルを含む食品も大事。体の調子を整える大事な栄養素よ!
長期保存ができて栄養価が高い食品は、非常時の体力維持や健康管理に必要です。種類豊富な食品を用意しておくと、飽きずに栄養を摂り続けられます。
コンパクトで収納しやすいものを選ぶ
コンパクトで収納しやすい食品を選ぶことは、日持ちする食材を選ぶ際に重要です。持ち運びしやすい小型パッケージや個包装の商品なら、必要な分だけを取り出しやすく、残りも簡単に保管できます。
コンパクトで収納しやすいものを選ぶと、限られたスペースにたくさん備蓄できます。
調理の手間が少ない食材を選ぶ
非常時には、調理の手間が少ない食材を選ぶことが大切です。すぐに食べられる食材なら、限られた時間やリソースの中でも手軽に食事を準備し、効率的に栄養を摂取できます。
レトルト食品や缶詰、乾燥食品は火を使わなくていいから便利。くだものもリンゴやドライフルーツなら長期保存できてそのまま食べられるからお勧めよ!
冷凍野菜や冷凍フルーツも、解凍するだけで使え、長く保存できます。サラダミックスやベビーリーフは洗うだけでよいので手軽です。
» ご飯を作りたくない!忙しい日でも簡単に食事を済ませる方法
日持ちする食材を扱う際の注意点
日持ちする食材を扱う際の注意点は、以下を参考にしてください。
- 保存場所に気を付ける
- 開封後の取り扱いに気を付ける
保存場所に気を付ける
食材の鮮度と保存期間を保つためには、温度変化が少なく、湿度が低い場所を選びましょう。直射日光や熱源を避け、化学物質や強い匂いのものから離れた場所に保管するのが理想です。
通気性の確保で、カビや虫の発生を防ぎ、食材の品質を維持できます。
開封後の取り扱いに気を付ける
開封後の食材は、適切な管理が重要です。
- 劣化を防ぐため、密閉容器やジップロックに入れ冷蔵保存する
- 開封した食材は、計画的に早めに消費する
- 湿度が高い場所や直射日光を避けて保管する
- 大容量の食材は小分けにして保存する
変色や異臭がする場合は、使用を控え、食中毒のリスクを防ぎましょう。
まとめ
日持ちする食材の備蓄は、災害時に重要です。災害時には店舗が閉店したり、物資が不足したりする可能性があるため、事前の備蓄で、安定した食料を確保できます。
米やパスタ、保存性の高い根菜や果物、冷凍肉やジャーキー、乾燥海藻や缶詰などが、災害時に有効な備蓄食材です。
適切な管理に加え、開封後の取り扱いも大切です。記事を参考に、家庭の備蓄食材の見直しをしてみましょう。