
- 冷凍すると栄養価が落ちるのでは?
- 栄養価を落とさないで冷凍保存や調理をしたい
- 忙しい毎日、冷凍野菜で手軽に栄養をとりたい!
忙しい現代社会では、便利な食材として冷凍野菜が人気です。しかし、栄養価については疑問の声も。また上手な使い方が分からないことも多いです。冷凍野菜を上手に取り入れるためには、冷凍後の栄養価や冷凍方法、調理方法の正しい知識が欠かせません。
この記事では、冷凍野菜の栄養価や保存方法、活用法について詳しく解説します。
記事を読めば、冷凍野菜の栄養価を理解し、上手に利用できるようになります。冷凍野菜は、適切に保存・調理すれば、生野菜におとらないほどの栄養を摂ることが可能です。
» 健康維持のために重要な栄養バランスの基本と整え方
★この記事の執筆者★

- ミドリ
- ✅ 食品・農業系ライター
✅ オーガニックコンシェルジュ
✅ 元・自然食品店員10年
✅ 無農薬農家さん指導のもと畑作りを勉強中

- 菜々ちゃん
(野菜の妖精) - ✅ ミドリの食の師匠(?)
✅ 野菜にまぎれて
やってきた妖精
冷凍野菜の栄養の基礎知識

冷凍野菜の栄養の基礎知識について、以下のポイントを解説します。
冷凍野菜と生野菜の栄養価の比較
冷凍野菜は多くの場合、生野菜と同等または上回る栄養価をもっています。冷凍野菜は収穫後すぐに加工されるため、鮮度が高く栄養価が保たれやすいからです。
ビタミンCは冷凍すると一部が失われますが、他の栄養素は概ね保たれます。タンパク質や炭水化物、ミネラルの含有量は冷凍と生で大きな差はありません。

ビタミンEやカロテノイドなどの一部の栄養素は、冷凍することで、むしろ生野菜より体内で利用しやすくなります。
野菜は生のままだと収穫後も呼吸を続け、だんだんと栄養が消費されていきます。輸送や保管中に栄養価が低下する可能性があるのです。
冷凍野菜はいつでも入手可能で、旬の野菜の栄養価を長期保存できる点がメリットです。冷凍野菜は栄養面で生野菜に劣らず、むしろ優れている場合もあります。
冷凍野菜が健康的な選択肢とされている理由

冷凍野菜が健康的な選択肢とされている理由は、栄養価の高さと利便性です。収穫後すぐに冷凍されるため、野菜本来の栄養素が保持されやすい特徴があります。
保存料や添加物は不要。価格が比較的安定していて経済的です。

冷凍野菜は調理の際の無駄が少なく効率的。栄養バランスの取れた食事が手軽にとれるため、健康的な食生活を求める方におすすめです。
» 野菜不足がもたらす健康リスクと解消法について解説!
急速冷凍技術と栄養素の保存
急速冷凍技術により、収穫したての野菜の栄養価を、ほぼそのまま維持できます。急速冷凍の最大のメリットは、細胞膜の損傷を最小限に抑えられることです。野菜を瞬時に凍らせるため、氷の結晶が小さく形成されます。

なるほど!結晶が小さいから細胞構造の破壊を防げるのね!

そう。だから栄養素の流出を抑えられるのよ。
冷凍前のブランチング処理により、酵素を不活性化し、栄養素を守ります。急速冷凍された野菜は、生鮮野菜と比較しても栄養価が遜色ない場合が多く、栄養価の高い食品です。
» 冷凍できる野菜の種類や保存方法、解凍のコツを解説!
【野菜別】冷凍野菜の栄養価

冷凍野菜の栄養価について、以下の野菜別に紹介します。
冷凍ほうれん草
冷凍ほうれん草は、以下の栄養素を豊富に含んでいます。
- ビタミンAやC、K
- 葉酸や鉄分、カルシウム
- ベータカロテンやルテイン
冷凍ほうれん草は、冷凍過程における栄養素の損失が少なく、生のほうれん草とほぼ同等の栄養価を摂取可能です。
年間を通して入手可能で、長期保存ができ、無駄になりにくい点も特徴です。

葉物って洗うところから結構めんどうよね。冷凍だとさっと使えて時短になるから、とっても便利。
冷凍ブロッコリー

ブロッコリーは栄養価が高く、健康に良い野菜です。冷凍ブロッコリーは、生ブロッコリーと同様に多くの栄養素を含んでいます。ブロッコリーに多く含まれているビタミンCやA、K、葉酸は、体のさまざまな機能を支える重要な栄養素です。
他にも以下の栄養成分も含まれています。
- スルフォラファン
- 食物繊維
- ルテイン
- タンパク質
- ミネラル
ブロッコリーには抗炎症作用や抗がん作用が期待されています。

冷凍ブロッコリーは便利で栄養価も高く、日々の食事に取り入れやすい野菜の一つです。
冷凍いんげん豆
いんげん豆には、食物繊維やビタミンC、葉酸をはじめ、さまざまな栄養素が豊富に含まれています。食物繊維は腸内環境を整え、ビタミンCは免疫力を高めます。
冷凍いんげん豆は、生いんげん豆と比べて栄養素の変化がほとんどありません。
ビタミンCの一部を損失する可能性がありますが、食物繊維などの他の栄養素は冷凍後もしっかりと保持されます。いんげん豆には抗酸化物質も含まれているため、体内の酸化ストレスを減らし、健康維持に役立ちます。コレステロールを下げたり、血糖値の急激な上昇を抑えたりするためにも効果的です。
冷凍野菜の栄養を損なわない保存方法

冷凍野菜の栄養を損なわない保存方法は、以下のとおりです。
※凍結前の短時間加熱
ブランチングする
野菜を短時間茹でる「ブランチング」をすると、冷凍時の品質低下を防げます。ブランチングには、以下の効果があります。
- 酵素活性の抑制
- 細胞破壊の防止
- 質感の改善
- 微生物増殖の抑制
ブランチングの方法は簡単です。野菜の種類に応じて適切な時間を選び、茹でた後すぐに氷水で冷やします。最後に水気をしっかり切ってから冷凍してください。家庭でも簡単に実践できるため、おすすめです。

ブランチングすれば、冷凍野菜の色や風味を保持し、解凍後の質感も改善されます。
短時間で冷凍する

短時間で冷凍すると、野菜の細胞破壊を最小限に抑えられます。短時間で冷凍するには、野菜を小さく切ったり、金属製のトレイを使用したりする方法が有効です。冷凍中は冷凍庫のドアを開けずに、温度変化を防ぎましょう。可能であれば、急速冷凍機能のある冷凍庫を使用してください。

短時間で冷凍すれば、野菜本来の栄養価や風味を損なわずに保存できます。
小分けにして冷凍する
適量にわけて冷凍すれば、必要な分だけ使え、無駄なく効率的に栄養を摂取できます。小分けする際は、以下の点に注意してください。
- 使いやすい大きさにカットしてから冷凍する
- 1回分の使用量で小分けにする
- 平らに広げて薄く冷凍する
- ジッパー付き保存袋を使用する
- 日付や内容物をラベリングする
小分けにすれば、解凍時間の短縮も可能です。必要な分だけ取り出せるため、余分な解凍による栄養素の損失を防げます。忘れずに冷凍庫を整理整頓しましょう。

長期保存の場合は二重包装してね!栄養価を保てます。
空気を抜いて冷凍する

野菜の栄養価を守るためには、空気を抜いた冷凍が重要です。酸化を防ぎ、栄養素の劣化を抑制できるため、長期保存に適しています。フリーザーバッグやジッパー付き保存袋を使用し、袋の中の空気をできるだけ押し出します。

ストローを使って空気を吸い出す方法も便利よ。
より確実に空気を抜きたい場合は、真空パック機を使用しましょう。空気を抜いて冷凍すれば、冷凍焼けを防止でき、解凍時の水分流出を抑えられます。袋のサイズは使用量に合わせて選びましょう。
冷凍庫の温度を安定させる
冷凍庫の温度を安定させると、栄養素の損失を最小限に抑えられます。冷凍庫の温度は-18℃以下が理想的です。温度を安定させるために、ドアの開閉は最小限に抑えましょう。食品を詰め込み過ぎないように定期的に冷凍庫内を整理してください。
熱い食品を冷凍する際は、室温に冷ましてからの冷凍がおすすめです。熱い食品を直接入れると、庫内の温度が上がりやすくなります。

冷凍庫の設置場所にも注意が必要です。直射日光が当たる場所や熱源の近くは避け、温度変化の少ない場所に設置してください。
再凍結を避ける

再凍結は冷凍野菜の栄養価と品質を大きく損なう可能性があります。一度解凍した野菜を再び凍らせると、細胞が破壊されて栄養価が低下し、食感も悪くなります。再凍結を避けるために、以下の点に気をつけましょう。
- 必要な分だけ解凍する
- 解凍後はすぐに調理する
- 早めに使用する
使い切れない場合は、調理してからの冷凍保存も良い方法です。再凍結を繰り返すと細菌が繁殖しやすくなるため、食中毒のリスクも高まります。

安全性と栄養価を考慮し、再凍結は避けましょう。
冷凍野菜の栄養を最大限に引き出す方法

冷凍野菜の栄養を最大限に引き出す方法は、以下のとおりです。
解凍せずそのまま調理する
冷凍野菜は基本的に解凍せず、そのまま鍋やフライパンで調理しましょう。冷蔵庫内でゆっくり解凍したり、常温解凍や電子レンジでの解凍も可能ですが、野菜がダメージを受けやすいため、解凍しない方が良いです。

キュウリのように、解凍後に生食できるものは自然解凍でも美味しいです。≫【保存版】冷凍できる野菜一覧とメリットを徹底解説
解凍後は水分をよく切ってください。調理時の味や食感が良くなるのでおすすめです。解凍した後はすぐに使用し、再冷凍は避けましょう。
調理法を工夫する

調理法を工夫すれば、冷凍野菜の栄養価を最大限に引き出せます。蒸し料理や炒め物は、水溶性ビタミンの損失を最小限に抑えられるため、おすすめです。健康的な油の使用も大切です。
オリーブオイルなどを使用すると、脂溶性ビタミンの吸収を促進できます。生で食べられる野菜は、解凍後そのまま食べると酵素や栄養素を保持できるため、おすすめです。スープや煮込み料理は、溶け出した栄養素も一緒に摂取できます。ビタミンCを含む食材と一緒に調理すると、鉄分の吸収を高められます。

過度の加熱は避け、栄養素の破壊を最小限に抑えましょう。
旬の新鮮な食材を活用する
旬の新鮮な食材の活用は、栄養面で大きなメリットがあります。旬の野菜や果物は栄養価が高く、味も格別です。また地元野菜だと鮮度が高いことが多く、栄養もあまり失われていません。新鮮な地元野菜を選ぶと、地域の農業支援にもつながります。
季節感のある食事を楽しめる点も特徴です。地元の野菜だと輸送費がかからず、価格が手頃で経済的なメリットもあります。
旬の食材を冷凍保存すれば、長期間にわたって栄養価の高い食材を楽しめます。旬の時期に大量購入して冷凍しておくと、オフシーズンでも手軽に使えて便利です。冷凍野菜と組み合わせれば、1年中バランスの取れた食生活を送れます。

旬の食材を上手に活用して、健康的な食生活を送りましょう。
冷凍野菜の栄養に関するよくある質問

冷凍野菜の栄養に関するよくある質問をまとめました。冷凍野菜の栄養価が気になっている人は参考にしてください。
家庭で野菜を冷凍すると栄養価はどうなる?
家庭で野菜を冷凍すると、栄養価が落ちるのではないかと心配する人が多くいます。市販の冷凍野菜は急速冷凍されるため、収穫後の栄養がそのまま保たれます。しかし家庭用冷凍庫では急速冷凍が難しく、ビタミンCなどの水溶性ビタミンが減少しやすいです。葉酸や酵素も影響を受けやすい栄養素です。

ブランチング(軽く湯通し)してから冷凍すると、栄養価の低下を防げます。小分けにして素早く冷凍すれば、品質の維持が可能です。
栄養を損なわない冷凍野菜の調理方法は?

冷凍野菜を調理する際、加熱方法によっては栄養が失われる場合があります。水溶性ビタミンを多く含む野菜は、長時間茹でたり、水にさらしたりすると栄養が流れ出します。栄養を逃さずに調理するポイントは次の3つです。
- 凍ったまま調理する
- 解凍せずにそのまま炒めたり、スープに入れたりすると、栄養の流出を防げます。
- 短時間で加熱する
- 加熱時間が長いほど栄養が失われるため、サッと炒めたり蒸したりすると効果的です。

適切な調理法を選べば、冷凍野菜の栄養を最大限に引き出せます。
冷凍野菜の保存期間は?
冷凍野菜の保存期間は、家庭用冷凍庫の温度や保存方法によって異なります。市販の冷凍野菜は-18℃以下で保存されるため、1年程度品質を保てますが、家庭で冷凍した場合は3か月程度が目安です。長期間保存するために、以下の点に注意しましょう。
- 冷凍庫の温度を安定させる(頻繁な開閉を避ける)
- 密閉容器や保存袋に入れて空気を抜く(酸化や霜の発生を防ぐ)
- 再凍結を避ける(一度解凍すると品質が劣化しやすい)

冷凍野菜は適切に保存すれば、栄養価を保ちながら長期間活用できます。保存期間を守り、新鮮なうちに使い切りましょう。
» 野菜の賞味期限の目安とおすすめの保存方法
まとめ

冷凍野菜は栄養価が高く、健康的な食生活を送るための優れた選択肢です。生野菜と同等か上回る栄養価をもつ冷凍野菜は、急速冷凍技術によって栄養素が効果的に保持されています。
ほうれん草やブロッコリー、いんげん豆などの冷凍野菜は、栄養価が高いことで知られています。
冷凍野菜の栄養価を維持するには、適切な保存が重要です。ブランチングや小分け冷凍、空気抜きなどの方法を活用してください。適切な方法で解凍して調理すれば、栄養を最大限に引き出せます。旬の食材と組み合わせれば、栄養価を高められます。

冷凍野菜を使って、健康的で栄養バランスの取れた食生活を送りましょう。