
- ベランダで無農薬って本当にできる?
- 無農薬野菜を簡単に育てたいけど、忙しい…
- 菌ちゃん農法なら失敗しないって本当?
「無農薬野菜が食べたい」「ベランダで簡単に育てたいな」という声をよく聞きます。安全な野菜を手軽に食べたいと思うのは自然なことです。しかし初心者は失敗しやすく、あきらめる人も多くいます。農薬漬けの野菜で我慢するか、高い無農薬野菜を買うことになりかねません。
この記事では、初心者でも失敗しにくい「菌ちゃん農法プランター栽培」の始め方を解説します。菌ちゃん農法は、無農薬かつ無肥料で野菜を育てる方法です。記事を読むと、菌ちゃん農法プランター栽培の方法が分かります。自宅のベランダで、手軽に無農薬野菜を楽しむことが可能です。
菌ちゃん農法は「糸状菌」の力で、農薬や化学肥料を使わず野菜を育てます。ベランダ栽培には、高さのあるプランターと無肥料の土、落ち葉や枯枝が必要です。糸状菌を土の中で育て、野菜に栄養を供給します。
★この記事の執筆者★

- ミドリ
- ✅ 食品・農業系ライター
✅ オーガニックコンシェルジュ
✅ 元・自然食品店員10年
✅ 無農薬農家さん指導のもと畑作りを勉強中

- 菜々ちゃん
(野菜の妖精) - ✅ ミドリの食の師匠(?)
✅ 野菜にまぎれて
やってきた妖精
菌ちゃん農法とは

菌ちゃん農法とは、肥料、農薬を使わない自然農法の一種です。長崎県の元農業指導員、吉田俊道氏が考案しました。一般の農法では窒素肥料が必要です。菌ちゃん農法では、糸状菌という微生物の力で、空気中の窒素を土中に取り込めます。
菌ちゃん農法の仕組みは以下の通りです。
- 土に落ち葉、枯木を投入
- マルチをかけて糸状菌の繁殖を待つ
- 種や苗を植え付ける
- 野菜の根と糸状菌がつながる
- 糸状菌から窒素など栄養が供給される
- 野菜が元気に育つ
厳密に言うと、空気中の窒素を取り込むのは「窒素固定細菌」です。糸状菌は窒素固定細菌から窒素をもらい、野菜に供給します。糸状菌は土中に広く深く伸びていく菌です。糸状菌とつながると、野菜は窒素以外のさまざまな栄養素も得られます。

もちろん、糸状菌以外の微生物の存在も、野菜の栄養補給に重要です。菌ちゃん農法は微生物が住みやすい環境を作ります。
無農薬なら菌ちゃん農法がおすすめの理由

無農薬栽培なら菌ちゃん農法がおすすめ。理由は以下の通りです。
初心者でも成功しやすい
菌ちゃん農法は、初心者でも成功しやすいです。やり方が可能な限り数値化され、具体的に説明されています。野菜作りは本来、自然相手で説明が難しく、未経験者には実践しにくいもの。しかし菌ちゃん農法は、誰もが成功しやすいよう、数値化されたマニュアルがあります。

考案者の吉田俊道氏は「1年目はマニュアル通りに行い、2年目からは自然相手に応用を楽しんでください」と述べています。
管理に手間がかからない
菌ちゃん農法は、管理に手間がかかりません。肥料が必要な農法は、野菜を収穫し終わると、また土づくりが必要です。菌ちゃん農法なら、一度畝やプランターを作れば、何度でも野菜を植えられます。落ち葉や枯木が減ったら、再度投入するだけです。

糸状菌が元気な限り、土を一から作り直す必要がありません。
費用がかからない

菌ちゃん農法は費用がかかりません。肥料や農薬を使わないからです。落ち葉や枯木を利用して「糸状菌」を増やし、野菜に栄養を届けます。一般栽培は、肥料や農薬を購入しなければなりません。栽培用の土をホームセンターなどで購入する人も、多くいます。

菌ちゃん農法は、身の回りのもので栽培を始めることが可能です。
病害虫に強い
菌ちゃん農法は病害虫に強いです。野菜は糸状菌とつながることで、より多くの栄養素を得ます。栄養状態がいい野菜を、虫はたくさん食べられません。栄養価が高くて、野菜を消化吸収しきれないからです。糸状菌が元気な土は、虫に喰われにくい野菜を育てます。
菌ちゃん農法プランター栽培の始め方

菌ちゃん農法のプランター栽培方法をご紹介します。菌ちゃん農法は畑でもプランターでも実践可能です。
準備するもの
準備するものは、以下の通りです。
- 深さ40cm以上のプランター
- 軽石(5~10cmの枯れ枝でもOK)
- 無肥料の土(山の腐葉土、一度使った市販の土、オーロラ培養土など)
- 落ち葉、枯れた小枝
- 黒マルチ
- 麻ひもや養生テープ
土作りの方法

土づくりの手順は、以下の通りです。







落ち葉や枯れ枝は、できるだけ糸状菌付きを入れてください。土中の糸状菌繁殖が早まります。マルチに穴を開けるのは、風通しを良くするためです。糸状菌は空気を好みます。

マルチをするのは、土が雨でびしょ濡れになるのを防ぐためです。逆に乾燥し過ぎないようにする効果もあります。
糸状菌は、湿気り過ぎも乾燥し過ぎも、苦手な微生物です。
»菌ちゃん農法公式オンライン講座
野菜の植え方

野菜の植え方は簡単です。土作りをして2~3ヶ月経ったら、野菜の苗を植えられます。
- 上部の落ち葉や枝をかき分け、土の上にこぶしでぐっと穴を開ける。
- 苗をポットから出して穴に入れる
- 土をかぶせる。
- たっぷり水をやる。

水やりは植えるときだけです。よっぽどカラカラに乾燥しない限り、水やりの必要はありません。糸状菌は水に弱いからです。

マルチはもう剥がして大丈夫!雨がかからない軒下で育てます。雨に打たれる場所なら、引き続きマルチが必要です。

マルチの上にたまった雨水が、穴に流れ込まないよう注意してください。土の中央をこんもり高くすると雨水は外側に流れます。
種から植えてもかまいません。しかし種から発芽させるのは難しいです。初心者なら、苗を買って植える方をおすすめします。
菌ちゃん農法プランターのデメリット

菌ちゃん農法のデメリットは、以下の通りです。
- すぐに植えられない
- 土が乾燥しやすい
すぐに植えられない
菌ちゃん農法は、すぐに野菜を植えられません。土づくりに2~3か月かかるからです。糸状菌が繁殖するのに、一定の時間がかかります。菌ちゃん農法は、糸状菌にたくさんの栄養を運んでもらう農法です。糸状菌が土中に張り巡らされないと、野菜が元気に育ちません。

プランターであろうと、畝であろうと、菌ちゃん農法は植えるまで時間がかかります。
土が乾燥しやすい
菌ちゃん農法プランターは、土が乾燥しやすいのが問題です。畝と違い、どうしても幅が狭くなります。糸状菌は乾燥し過ぎると育ちません。ある程度の湿り気は必要です。
なるべく幅のあるプランターを使ってください。マルチに開ける空気穴の大きさや数を調節し、土が乾かないように注意することが大事です。
菌ちゃん農法で心身ともに豊かな生活を送ろう

菌ちゃん農法は、肥料・農薬を使わない自然農法の一種です。初心者でも失敗しにくいため、家庭菜園で試す人が増えています。空気中の窒素を取り込んで、野菜へ届ける糸状菌の働きを利用した農法です。

土づくりに3か月かかるため、すぐに植えられません。しかし土の中で糸状菌が繁殖したら、野菜を勝手に育ててくれます。

一度野菜を作り終えた後、また土づくりする必要はありません。同じ土で何度も野菜を作れる素晴らしい仕組みです。
プランター栽培は乾燥しやすいのが問題なので、湿度を逃さないよう気を付けてください。菌ちゃん農法プランターで、手軽に無農薬野菜を楽しみましょう。