無農薬野菜の危険性とは?選び方と消費する方法を解説

無農薬野菜の危険性とは?選び方と消費する方法を解説

「無農薬野菜は本当に安全なのか」といった疑問の声を聞くことがあります。安全と言われる無農薬野菜ですが、100%安全かと問われると、必ずしもそうとは言い切れません。本記事では、以下の内容について解説します。

  • 無農薬野菜とは
  • 天然毒素が多く作られる危険性
  • 無農薬野菜を安全に消費する方法

「無農薬」を正しく理解すると、食材を安全に選べて健康的な食生活を送れるようになります。ぜひ最後までご覧ください。

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ミドリ
食品・農業系ライター。自然食品店勤め10年を経験したオーガニックコンシェルジュ。環境に配慮した有機、自然栽培などを応援しています。現在、無農薬の農園で畑づくりを勉強中。

無農薬野菜とは農薬を使用せずに育てられた野菜

無農薬野菜とは、化学合成された農薬を使用せずに育てられる野菜です。無農薬野菜の栽培方法は、殺虫剤や除草剤を使わず、防虫ネットや手作業による除草作業などです。

無農薬野菜の理解を深めると、安全と健康に配慮した選択ができます。

無農薬野菜の特徴

健康にいいと言われる無農薬野菜の特徴は、以下のとおりです。

  • 農薬を使わず人にも環境に優しい
  • 生態系への配慮され持続可能な農業の実現に貢献している
  • 多くの人に「味が濃く野菜本来の風味を楽しめる」と好評
  • 栄養価が高い可能性

無農薬野菜は高価格ですが、残留農薬の心配が少なく、子どもや高齢者でも安心して食べられる野菜です。無農薬だと土壌や水質を汚染させることがないため、自然の生態系を保護にも貢献しています。

「無農薬野菜は味が濃く野菜本来の風味を楽しめる」と多くの人がそう語っています。しかし今のところ科学的根拠はありません。ただ、私も今まで数多くの農家さんの無農薬野菜を食べてきましたが、どれもしっかりとした味わいや香りを持っていて本当に美味しい!無農薬栽培に必要な豊かな土壌が、味と香りが育てている可能性は高いでしょう。

ミドリ
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無農薬野菜は、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富に含まれていることが多いという研究結果もあります。

» 農薬の人体への影響

無農薬野菜の安全性に対する誤解

無農薬野菜が一般的に安全と言われている理由は、農薬の残留リスクがないことです。しかし、そこには無農薬野菜への誤解が生じています。

「無農薬野菜は残留農薬がゼロである」

農薬の残留リスクは低いですが、以前使っていた農薬が畑に残っていたり、隣の畑から農薬が風で飛ばされてきたりして、野菜に付着している可能性があります。

「無農薬野菜は農薬をまったく使用していない」?

まったく使っていないのは「化学農薬」です。一部「天然由来の農薬」を使っているところもあります。ハーブエキスや木酢液などです。

「無農薬野菜は化学肥料も使用していない」?

無農薬栽培をしている農家さんは、健康や環境へのリテラシーが高い人たちが多いため、農薬だけでなく化学肥料も使用しないところが大半です。しかし、無農薬栽培は「農薬を使わない」ということ以外に決まりはありません。化学肥料を使用していても農薬を使っていなければ「無農薬」になるわけです。

「無農薬」という言葉を単純に信じるのではなく、常に客観的に評価し、自分や家族にとってベストな選択をしたいものです。

無農薬野菜と有機野菜の違い

無農薬野菜と有機野菜の違いは、以下のとおりです。

比較項目無農薬野菜有機野菜
栽培方法農薬を使用せずに栽培されるが、一部自然由来の農薬を使うところもある化学農薬だけでなく化学肥料の使用も禁止され、国際基準や国内基準に基づいた厳格な認証が必要
規定「農薬を使わない」ということ以外に特に決まりはない。・土壌の健康維持と改善する方法が求められる
・環境への配慮や持続可能性に重点を置いている
・より厳しい規定が設けられている
無農薬野菜と有機野菜の違い

無農薬野菜と有機野菜は、栽培プロセスの透明性と持続可能性に対する配慮の度合いに大きな違いがあります。有機野菜は、厳格な基準と認証を受ける必要があり、環境への配慮が強調されています。

ミドリ
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有機栽培の方が必ずしも無農薬栽培より優れているというわけではありません。有機栽培には厳格なルールがありますが無農薬栽培は決まりがない分、生産者の考え方ひとつで厳格にも柔軟にもなりえるのです。

» オーガニックは意味がない?

天然毒素が多く作られる危険性

植物は外敵から身を守るために毒を生成します。これは自然毒と言われ、広く知られているところでは毒キノコ、ジャガイモの芽、ジャガイモの緑色に変色した表皮などです。

実は「農薬を使わないと植物がより多くの自然毒を生成してしまう」という研究結果があります。これにより「無農薬野菜はかえって危険だ!」と一部で叫ばれるようになってしまいました。まるで「農薬を使った方が安全」「無農薬野菜はすべて危険」というふうにも聞こえてしまいますね。

しかし考えてみてください。化学農薬が広く使われ始めたのは戦後のこと。それまでは危険な植物は食べない、ジャガイモの芽は切り取り、青い皮は剥く、苦みの強いものは避けるなどして、人は昔から無農薬野菜と共存してきたのです。

「毒」といっても苦みやエグミを感じる程度のものも含まれています。キュウリやズッキーニに見られるククルビタシンは、口に苦みを感じさせる成分があります。品種改良により食用のものにはほとんど含まれなくなっています。

もちろん、何も疑わず安心して食べていいと言っているわけではありません。自然毒があるものは避けるようにしましょう。大丈夫と思っても、もし激しい苦みを感じたら決して食べてはいけません。違和感を感じたら医療機関を受診することも大事です。

大事なことは「自然毒」「無農薬はかえって危険」という言葉に過剰に反応せず、正しい食し方を心がけることです。

無農薬野菜を安全に消費する方法

無農薬野菜を安全に消費するためには、天然毒を避ける方法と正しい洗浄方法を知っておくことが大事です。

天然毒を避ける方法

無農薬野菜に限らず、植物全般には天然毒が含まれるものがあります。食用として売られているものは安全と判断されて出荷されるものなので危険度は低いでしょう。しかし、野菜によく似た有毒の植物が混入したり、食材として劣化することで毒素が作られるものなどもあります。身元のしっかりしたところから入手することが大事です。

以下、食材の天然毒素を避ける方法を一覧表にしました。

食材名天然毒素避ける方法
ジャガイモソラニン、チャコニン芽や緑色の皮を取り除く
毒キノコイルジン類、ムスカリンなど販売はされないよう未然に対策されている、自生しているものは食さない。
スイセン(ニラと間違われる)リコリン、ガランタミンなど販売されないよう未然に対策されている、見分ける目を持つ。
イヌサフラン(ギョウジャニンニクと間違われる)コルヒチン同上
フクジュソウ(ふきのとうと間違われる)シマリン、アドニトキシンなど同上
ビワの種子シアン化合物種子を食べない、粉末製品に注意
アジサイの葉不明食べない、飾りとしても使用しない、大葉に似ているので注意
キク科、ムラサキ科などの一部の植物ピロリジジンアルカロイド販売されないよう未然に対策されている
食材の天然毒素を避ける方法

この表を参考にして、天然毒素を避ける方法を確認してください。他にも様々な植物が天然毒を持っていますが、危険性の高いものは基本的に販売されることはありません。大切なのは「どこから入手したものか」ということです。個人の家庭菜園、身元があやふやな出荷元の場合は、注意が必要です。

しっかりした販売ルートのもの、生産者の身元が確かなものから食材を入手すれば、いたずらに不安になる必要はありません。

※参考資料「知識があればこわくない!天然毒素」農林水産省HP

正しい洗浄方法

栽培期間中は無農薬でも、以前に使用していた農薬が残っていたり、ほかの畑から飛来したものが付着したりする可能性はあります。不安に思うこともあるかもしれません。そんな時は正しく洗浄することが大事です。以下の手順に沿って、洗浄しましょう。

  1. 冷たい水で野菜をしっかりすすぐ
  2. やわらかいブラシを使用する
  3. 表面の汚れをこすり落とす
  4. 水1リットルに対して重曹小さじ1を溶かした重曹水に15分間浸す
  5. 重曹の残りがないように清潔な水でしっかりとすすぐ
  6. 必要に応じて商品の指示に従って野菜用殺菌剤を使用する

上記の手順に従って洗浄すれば、より安全性を高められます。

まとめ

無農薬野菜を理解することは、健康を考える上で重要です。無農薬野菜は農薬を使わずに栽培されるため、環境に優しく、健康に良いとされていますが、天然毒のリスクと農薬の付着の可能性も伴います。無農薬野菜を選ぶ際には生産者の身元を確認しましょう。

残留農薬の心配がぬぐえない場合は、冷たい水でしっかりとすすぎ、やわらかいブラシを使って洗います。重曹水で浸け置きすることも有効です。

ミドリ
ミドリ

大事なのは、しっかりした販売ルートのもの、生産者の身元が確かなものを購入することです。「無農薬野菜はかえって危険」という言葉にやみくもに不安になる必要はありません。昔の人々の知恵を今一度振り返ることも大切です。