ジャガイモの自然栽培|無肥料・無農薬での育て方を初心者向けに徹底解説

ジャガイモの自然栽培|無肥料・無農薬での育て方を初心者向けに徹底解説
  • 自然栽培でジャガイモを育てる具体的な方法を知りたい!
  • 種イモはどこで入手したらいい?
  • 慣行栽培のジャガイモの育て方とどう違う?

ジャガイモは比較的育てやすく、土の中でゴロゴロとたくさんのイモが実るため、自然栽培初心者が育ててみたい野菜の一つです。

しかし、いざ自分で育てようとすると、「どんな手順で育てたらよいか」「ホームセンターの種イモを使っていいのか」など、実践的な迷いが出てきます。

この記事では、自然栽培のジャガイモの育て方と注意点を解説します。記事を読めば、ジャガイモ栽培の手順がすっきりと整理でき、自信を持った植え付け作業が可能です。

ジャガイモの自然栽培で大切なことは、風通しと水はけを良くしておくこと、過剰なお世話をしないことです。ジャガイモが自ら根を伸ばしやすい環境を整えてあげましょう。

■この記事の執筆者■

ミドリ

✅ webライター
✅ 薬機法管理者
✅ 通販業界20年(健康食品・自然食品など)
✅ 50才を過ぎて畑と出会う
✅ 自然栽培で野菜づくり

ジャガイモの植え時

ジャガイモは春か秋に植え付けます。涼しい気候を好み、暑さや強い霜が苦手なためです。成育適温は15~24度前後で、春は2月下旬~3月頃、秋なら8月下旬~9月上旬頃が植え付けに適しています。

成育に適した地温は15~24度

ジャガイモの生育に適した地温(土の中の温度)は15~24度前後です。極端な暑さや寒さには弱いため、この適温期に葉や茎が育ちます。地下のイモが大きくなるように植え付け時期を調整することが大切です。

春と秋の植え付けの目安

・春植え: 2月下旬~3月(地温が10度以上)
・秋植え: 8月下旬~9月上旬(朝晩の地温が25度以下)

春植えは地温が10度を超えるようになって行います。芽が出てからの成育に適した地温は15度以上です。遅く植えると初夏の暑さ(30度以上)で育ちが悪くなります。寒さが和らいだらできるだけ早く植えましょう。

秋植えは「霜が降る時期」から逆算します。ジャガイモの地上部(葉や茎)は霜に当たると枯れてしまい、それ以上はイモが大きくなりません。初霜の時期から逆算して約3ヶ月(遅くとも2ヶ月半)前には植え付けを完了させるのがポイントです。地温が熱いと種イモが腐りやすいため、地温が25度を下回ってから植えます。

霜で地上部がすべて枯れたジャガイモ
ミドリ
ミドリ

近年の温暖化で、植え時を判断するのが難しい状況です。気温や天気の様子を見ながら、その土地に合った時期を見極めていきましょう。

夏の暑さが落ち着くのを待つ一方で、遅過ぎると霜の被害に合う可能性が高まります。ジャガイモを元気に育てるには、適温を意識しつつ、地域の気候に合わせて植え付け時期を調整することが重要です。

自然栽培ジャガイモの育て方

畑で自然栽培のジャガイモを育てる手順は以下の通りです。

  1. 畝の準備
  2. 芽出し
  3. 種イモの植え付け
  4. 芽かき
  5. 土寄せ
  6. 収穫と保存

自然栽培では、畑を耕す方法と、耕さない(不耕起)方法があります。ご自身の考えに合う方法を選ぶことが大切です。

耕す派、耕さない派それぞれの考え方
・耕す派の考え方:土を耕すと空気と水の通りが良くなり、根やイモが成長しやすくなるという考えです。

・耕さない派の考え方:土の中にできた構造をそのまま生かすという考えです。植物の根が枯れた跡や、ミミズや微生物の働きによって、土の中に自然な通り道ができます。耕すとそれが壊れてしまうため、不耕起のまま作物を育てます。

自然に任せる、というのが自然栽培の基本的な考え方です。それをどこまで追求するかは栽培家によって異なります。

①畝の準備(耕す場合・不耕起の場合)

  • 耕す場合: 植え付けの前に畑を耕し、土をほぐしておきます。ジャガイモは湿気を嫌うため、水はけが良くなるよう高めの畝(高さ15〜20cm程度)にします。
  • 耕さない場合: 植える場所の周囲にある雑草を刈り取っておきます。

雑草を株元に敷き詰める草マルチもおすすめです。草マルチは光を遮るだけでなく、土の乾燥を防ぎ、分解されて土壌微生物の豊かな餌になってくれます。

②芽出し

植え付けの2〜3週間前から、種イモを太陽の光に当てて芽を出します。芽出しをしないままだと、芽が出るまで土の中で長く過ごすことになり、春の湿った冷たい土の中で種イモが腐りやすくなるからです。

また、芽がしっかり出た種イモだけを植えることで、健やかに育つ確率が上がります。種イモの表面から緑色や紫色の硬い芽が0.5〜1cmほど伸びたら植え付けましょう。

③種イモの植え付け

畝に深さ7〜10cmほどの穴を掘り、株間(イモとイモの間)を30cmほど空けて植え付け、土をかぶせます。春植えの場合、大きい種イモは1個あたり40〜50g程度に切り分け、切り口を乾燥させてから植えます。一方、秋植えの場合は種イモが腐りやすいため、切らずに丸ごと植えるのが基本です。

ミドリ
ミドリ

耕さない場合は、植える部分だけ地面を掘り種イモを入れます。掘り起こした土は、形をなるべく崩さないようにそのまま戻し、フタをするように穴にかぶせるのがポイントです。

④芽かき

茎が10〜15cmほどに伸びてきたら、「芽かき」を行います。 1株から何本も芽が出ていると、栄養が分散して小さなイモばかりになります。状態の良い元気な茎を2〜3本だけ残し、残りの芽は種イモが動かないよう株元を押さえながら引き抜くのがポイントです。 芽を減らすことで風通しが良くなり、病気の予防にも繋がります。

⑤土寄せ

芽かき直後とその2〜3週間後の計2回、土寄せをします。

新しいジャガイモは種イモより上部に実るため、土の上に顔を出すことがあります。イモに日光が当たると緑色に変色して毒素(ソラニン)が発生してしまうため土寄せが必要です。また、土寄せをすることにより株がぐらつきにくく、風や雨にも負けにくくなります。

株元にしっかりと土を寄せてあげることで、イモの緑化を防ぎ、安心して食べられるジャガイモに育ちます。

⑥収穫と保存

地上部(葉や茎)が黄色く枯れて倒れてきたら、収穫の合図です。光合成で作った栄養を地下のイモに送り終え、イモの肥大が止まると、地上部は黄色く枯れてきます。

2〜3日晴れが続いた乾燥した日に収穫しましょう。傷つけたり泥が付いたりすると保存中に腐りやすいからです。

イモは茎を中心に周囲20〜30cmほど広がり、深さも20cmほどの範囲に実っています。傷つけないよう、茎から20〜30cmほど離れた場所にスコップを斜めに深く刺し込むのがポイントです。土ごとてこの原理で持ち上げ、そのまま茎の根本をしっかり掴んで、上へ引き抜きます。

実ったイモが顔を出しますが、これで全部ではありません。土の中にたくさんのイモが埋まっている可能性が高いです。ここからは手で掘ってイモを探します。

ミドリ
ミドリ

収穫したイモは風通しの良い日陰で表面を乾かし、直射日光の当たらない涼しい場所で保存することが大切です。

収穫作業は時期をしっかりと見極めて行い、適切な保管をすることで、十分育ったジャガイモを長く楽しめます。

種イモの品種の選び方

ジャガイモは、植える時期によって向いている品種が違います。

  • 春植え向き:男爵薯(だんしゃくいも)、メークイン、キタアカリなど
  • 秋植え向き:デジマ、ニシユタカ、アンデスレッドなど

一番の違いは眠る期間(休眠)の長さです。ジャガイモには、収穫後しばらく眠る(休眠する)期間があり、その間は芽が出にくくなります。

  • 春植え向き:眠る期間が長い品種です。秋に植えようとしても、芽が出ないうちに土の中で腐ってしまうこともあります。
  • 秋植え向き:眠る期間が短い品種です。春に収穫した種イモが秋までに目を覚ますので、植えるとスムーズに芽が出ます。
ミドリ
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秋植え向きの品種は、春植えでも育てられます(春と秋の年2回育てられるので「二期作向き」とも呼ばれます)。

植える季節に合った品種を選ぶことが、順調に生育できるポイントの一つです。

種イモの入手方法

種イモの入手先はホームセンターや園芸店、オンラインショップ、農家など多岐にわたります。

初心者なら市販の種イモ

最初はホームセンター等の市販の種イモで大丈夫です。 2回目からは、収穫したジャガイモを種イモに使う「自家採種」に切り替えていきましょう。

最初に市販の種イモをおすすめするのは、健康な種イモで始めることが大切だからです。種イモが病気(特にウイルス病)にかかっていると、健康に育てることが難しくなります。市販の種イモは国の検査に合格した病気の少ないものであるため、初めての栽培でも安心です。

選ぶときは、次の2点を確認します。

  • 「消毒済み」という表示がないもの
  • 植える時期(春植え・秋植え)に合った品種

なお、スーパー等で食用として売られているジャガイモは、種イモとしての検査を受けておらず、栽培には向きません。

こだわり派なら自然栽培用の種イモ

最初から無農薬の種イモにこだわりたい方は、専門店や直売所で探すことができます。

  • オーガニック専門の種苗店・ネット通販: 自然栽培で自家採種を続けているジャガイモを扱うお店があります(例:Yes organic farm)。種イモとして使うなら、「種イモ用」「検査済み」などと書かれたものを選ぶと安心です。
  • 直売所や自然農の農家さん: 無農薬で育てたジャガイモを購入したり、分けてもらったりする方法もあります。ただし、種イモとしての検査を受けていない可能性が高いため、傷や変色がなく、健康そうなものを選びます。

2回目からは自家採種の種イモ

初めての栽培で無事収穫できたら、次は自家採取の種イモがおすすめです。自分の畑で育ったイモを毎年つないでいくことで、土地の環境になじんだ種いもが育っていきます。

収穫したジャガイモの中から、形がよく傷のないものを種イモに選ぶことが大事なポイントです。風通しがよい暗所で保存しておけば、次の栽培の種イモになります。

自家採種をするときは、次の2点に注意しましょう。

病気の株から採らない

葉が縮れる、まだら模様が出るなど、様子のおかしかった株のイモは避けます。ウイルス病は種いもを通して次の年に引き継がれるためです。

種苗法を確認する

育成者権で守られている登録品種は、無断で増やした種イモを人に譲ったり販売したりすることが法律で制限されています。登録品種かどうかは、農林水産省 品種登録ホームページで確認できます。男爵薯やメークインなど昔からある品種の多くは、登録が切れた一般品種です。

すくすく育てるための管理のポイント

畑に植え付けたあとは、定期的に畑の様子を観察しながら以下の管理を行っていきます。

雑草の管理(日当たりと風通しの確保)

ジャガイモの苗が小さいうちに周囲の草が茂り過ぎると、光や風が遮られてしまいます。株元の草を刈り取り、日当たりと風通しを確保しましょう。刈った草はそのまま株元に敷く「草マルチ」として活用できます。

日々の観察と虫への対応

葉の裏や茎を観察し、葉を網の目状にかじるテントウムシダマシやその卵を見つけたら、手で取り除きます。日々の観察で早めに対応することが、葉を守り健全に成長させるコツです。

水やりは自然の雨におまかせ

ジャガイモは乾燥に強いため、発芽後は基本的に人工的な水やりは不要です。自然の雨に任せつつ、土の乾き具合や株の様子を見守ります。

自然栽培と慣行栽培のジャガイモづくりの違い

自然栽培と一般的な栽培(慣行栽培)の最大の違いは、「肥料・農薬の力を借りるか」「肥料・農薬に頼らず、土や植物自身の力を引き出して育てるか」という点です。

自然栽培では化学肥料・有機肥料・農薬を一切使いません。肥料を与えないからこそ微生物が活発に働き、ジャガイモ自身も生きるために深く根を伸ばしながら、たくましく成長していきます。

自然栽培のポイントは、「ジャガイモが健やかに育つ環境を整え、日々の変化を見守ること」です。芽の伸び具合や葉の様子を観察し、必要に応じて草を管理したり虫や病気に対応したりします。

虫や病気への対応は、密集した葉を整理して風を通す、水はけを良くするなどがあります。

自然栽培でも慣行栽培でもジャガイモを育られますが、自然栽培は自然の仕組みを生かすことを重視する点が特徴です。

ジャガイモの自然栽培は環境づくりと見守りが大切

自然栽培のジャガイモづくりで大切なのは、肥料や農薬に頼らず、ジャガイモが自らの力で根を伸ばせる環境を整えることです。水はけと風通しを良くし、手をかけ過ぎずに日々の成長を見守りましょう。

  • 地温と霜の時期を意識して、春植え・秋植えの適期に植え付ける
  • 植える季節に合った品種を選び、最初は「消毒済み」表示のない市販の種イモから始めてもよい
  • 耕す・耕さないは自分の考えに合う方法を選び、水はけの良い畝を準備する
  • 芽出しをしてから植え付け、芽かきと土寄せを適宜行う
  • 草の管理と虫への早めの対応を行い、水やりは自然の雨に任せる
  • 地上部が枯れたら晴れの日に収穫し、風通しのよい冷暗所で保存する
  • 健康な株のイモを自家採種して次の栽培につなげる

手順を押さえておくことで、自然栽培が初めての方でもジャガイモは育てられます。お住まいの地域の気候に合わせて植え時と品種を選び、自然栽培の第一歩を踏み出しましょう。